こんにちは!
榎本澄雄です。
9月3日、日曜日。
東京は残暑が続いていますが、
朝夕は秋らしくなってきました。
9月8日は白露、9月23日は秋分の日です。
取調べ室のファシリテーション技術
元刑事の予備校講師が語った
学修デザインの秘密 第1回
今日は、
なんと8年前の
インタビュー記事を紹介します!
8年前の私、
けっこう良いこと言ってます。
私が2013年に警察を辞め、
2015年、株式会社 kibiを設立したばかりで、
ホームページもブログもなく、著書や講演実績もなく、
セールスやコピーライティング、マーケティングの経験もなく、
早稲田塾という大学受験予備校でファシリテーターをしていた頃です。
本当に「何の実績もなかった……」ので、何とか果敢にメディアへ露出して、
小さな実績を一つずつ積み上げようとしていた頃の貴重なインタビュー記事です。
いま改めて読み返すと、
『元刑事が見た発達障害』
「学修デザイナー養成講座」
神田外語学院「医療・危機管理」へ
繋がる原型(プロトタイプ)になっていて驚きます。
CREM(クリム)連載
そこはかとなく好奇心を刺激するクリエイターの秘密基地。
原題
教育・研修系のファシリテーター必読
元・刑事が語るファシリテーションの極意
2015年7月13日公開
執筆 CREM編集部 丸山亜由美さん
当時のURL(現在はクローズ) http://cre-m.jp/sumiwo_01/
※現在、CREMさんのサイトが閉鎖されて、記事が閲覧できないので、当時の記事を再現します。独立起業を目指す皆さまの参考になるように、私の名前の表記やプロフィールを含めて、記載は極力、当時の原文そのままにしてあります。
第2回の記事はこちらをご覧ください。
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【第1回】予備校の授業からひも解くファシリテーション:取調べ室と教室は同じこと、その訳は?
「反転授業」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?反転授業とは、基本的な知識を自宅などで事前に予習し、教室の授業では問題演習やグループで課題を解決するという授業スタイルです。教える教育から、生徒が自ら学ぶ教育へ。学校や塾などが反転授業の形式を取り入れることで、先生が求められる役割というものも少しずつ変わって来ています。
榎本澄雄さんは、大学受験予備校で英語を教える「塾講師」ではなく、生徒自身が積極的に学びたくなる授業を展開する「ファシリテーター」。一方的に知識を教えるのではなく、授業が楽しくなるきっかけや、チームで問題に取り組む生徒同士の繋がりを作っています。
なぜそのようなコミュニティーを作れるのか?実は榎本さんは元・刑事。ファシリテーションの技術は、事件解決へのアプローチから身についたといいます。今回は予備校での取り組みと、普段はなかなか伺えない警察の内情を全3回の連載でお送りします。
(執筆:CREM編集部 丸山亜由美さん)
クリエイター:榎本すみを(ファシリテーター)
愛媛県出身、早稲田大学人間科学部卒業、元・警視庁知能犯罪捜査官
ファシリテーションを地域に拡大し、コミュニティーデザインも手掛けるkibi 代表取締役
特技のダンスは元・ZOOと共演したほどの腕前、ダンサーとしての一面も
・株式会社kibi:https://www.kibiinc.co/
【第1回】予備校の授業からひも解くファシリテーション:取調べ室と教室は同じこと、その訳は?
1.理解度よりも、どんな気持ちで授業を受けているか?
2.大人の都合で生徒を騙さない
3.心にフタをしない、自分らしい生き方を提案する
1.理解度よりも、どんな気持ちで授業を受けているか?
第1回目は榎本さんが展開している予備校でのファシリテーションに注目。生徒の何に着目し、何に応え、ファシリテーションの意味をどう捉えていらっしゃるのかを伺いました。
--塾の先生だけれども、一方的に教えない。その中でどんなことを意識して授業をしてらっしゃいますか?
榎本さん(以下敬称略)「コアなところを言うと、ずばり「表情」。聞いているか聞いていないかではなくて、生徒がどういう気持ちでそこにいるか?ということが大事。リラックスしているのか、イライラしているのか、隣に女子がいて嬉しいのか(男子生徒に対して)…そういうことがすぐに分かる。俺が話しかけることで、どういう「リアクション」を取ってくれるか?それが自分の中での生徒に対する価値基準、判断基準なんです。生徒が不満足そうだったら、では何が足りないんだろう?とこちらが考えるわけです。」
--話を聞いているか、授業が分かっているか、ということではないんですね。
榎本「授業中に確認テストをやるクラスがあると思うんですが、俺はテストが終わった後にシェアの時間を設ける。定期テストが終わってから友達と答え合わせをして、ここ間違ってるじゃーん!とか、やったりしませんでしたか?あれって結構楽しいですよね。それを授業で再現すると、みんなが明るくなる。」
--あまり勉強が得意でなくて、テストも点が取れないようなクラスの場合は?
榎本「逆に暗くなってしまうクラスではやらない。自分の持っているクラスごとにやり方を変えます。メンバーによっては、すっごい静かな授業になることもあるし、逆にうるさくなることもある。それはその場次第なんです。」
--あまりヤル気がない生徒には、どう向き合っていますか?
榎本「勉強について言えば、英語は視覚的に入る子と、音から入る子の2パターンがいるかもしれません。読んだり書いたりできないけれど、ネイティブのイントネーションをオウム返しみたいに上手くマネできる子がいるんです。マネして言えるということは、聞き取れている証拠。それを繰り返せば、英語は喋れるようになる。だから、マネしてやっていいよと。そのうち先生の日本語もマネし始めるんですが、それもみんなで笑ってあげる。そういう楽しい雰囲気を作っていくんです。」
--勉強の方法ではないアプローチは?
榎本「全然塾に来ないけれど、来たらそれなりにやる子っていますよね?まずはその人が聞きたい話をする。雑談を頻繁にするんです。ツンデレの子には、その人が話したくなるような話を色々と投げかけてみる。するとある話題について、その子の話が止まらなくなることがあるんです。授業中でも自分の好きな話題になると、みんなの前でもずっと話し続けるような。でも、俺はその子の話を止めない。他の子達の雰囲気も見つつ、聞いてあげるんです。」
2.大人の都合で生徒を騙さない
榎本「あるとき聞いた話があって。子供って「ねぇねぇお母さん」と親や大人に向かって頻繁に話しかけますよね?それを「ちょっと待って」と止めてしまうことがある。でも、止めないで「どうしたの?」と聞いてあげた子はいい子に育つと。要はその子の欲求を止めてしまっている。子供は「本当に言いたいことやしたいことをすると止められるんだ…」と心にフタをしてしまうんです。そのフタを開けるのは結構大変で。その心の扉を開ける目と言葉を自分は持っている感じです。」
--その目と言葉はどういったものなのでしょう?
榎本「それはテクニック的なところなんですが…表情のどこを見れば、何を質問すれば、その人のことが分かるのか?それは自分にとっての原点である、警察で学んだことなんです。」
--それが一般の人にもできるようになるには、どういうことを意識すれば?
榎本「すごく大きなことを言うと、自分の言いたいことばかり言わないということです。相手の話したいことを聞く。でもこれって何でもそうですよね?セールスだって、自分よりも相手に話させることが大事。何を相手が話したいのか、その心を読む。最近よくあるメンタリストや洗脳などの、いかに相手に行動させるかといった内容。学校の先生にもよくあります。テクニックとしては有効なんですが、自分の意図通りにさせようという思惑があると、後々後悔することになりますよ。」
--それはどういう意味なのでしょうか?
榎本「ちょっと嫌な言い方をすると、なんとか上手く騙してこの授業を受けさせようとか…要するにそれはお金のことで。塾を辞めると言ってきた生徒がいたとして、それをなんとか経営的な事情で続けさせようとする。でもそれって、生徒が後で分かったり、気が付いたりするんですよ。そこでがっかり感を味わったり、もう人を信じないという反発が起きる。」
--では辞めると言われたとき、塾側はどういう対応をすれば良いのでしょう?
榎本「お互いにとって良い選択は何かを心を尽くして考えるんです。コミュニケーションをとればいい方法は必ず見つかる。でもそれを自分の意図ありきで、こうさせようという思惑があるからいけないんです。取調べも同じで、無理矢理に供述させようとか、騙して白状させようとかしても絶対に上手く行かない。たまに心根の優しい人が、無実なのに供述させられたという悲劇が起きるけれど、そうなってしまった時の悲惨さといったら…。」
--罪の大きさはともあれ、塾を無理矢理続けさせるのと、供述を迫るのは同じことですね。
榎本「自分の思い通りに人を動かすことは、テクニックとしても使えるだけに、どう使うのかが大事で。洗脳と尋問のテクニックは全く同じなんですよ。だから、その生徒がどうしたら1番幸せになるかを考えるべきなんです。本当は芸術系がめっちゃできるのに、頭がいいから東大を受けさせられたりする子がいる。その時は受けるかもしれないけれど、その子は後で気づきますよ。騙されたとまで思わなくても、自分の人生は間違っていたと。それって不幸なことでしょ?」
--子供に悟られないようにしながら、大人が願望を叶えようとしている。
榎本「生徒はそういうことを全て分かっている。大人の意図は全てバレているんです。なぜなら生徒は「塾を辞めると言うと周りの大人は顔つきを変える」と俺には言うから。きっと安心しているから言えるんでしょうね。」
3.心にフタをしない、自分らしい生き方を提案する
榎本「子供って交渉ごとのプロなんですよ。お金もないし、何でも人に頼ってやらなくてはいけない。だからどうすれば頼めるかを知っているんです。だから人の顔色を良く見る。大人は力があるから、子供の顔色とか見ないで、「勉強しろよ」と言えるわけです。」
--交渉は力を持たざる者の知恵なのですね。
榎本「でも、いわゆるイイ子に染まってしまった子は、自分の心をごまかしてしまう。親が望んだことであっても「私はこれでいくんだ」と自分に思い込ませてしまうんです。そして25歳くらいになってから気づく。私の人生、なんだったんだろうって。自分のやりたいことって本当にこれだったのかな?って思うわけです。」
--心にフタをしてしまうのは、きっと自分の希望は聞き入れてもらえないだろうな、という心理からくるのでしょうか?
榎本「はい。でもそれが絶対ダメかというと、そうでもないんです。生きていくためには自分を誤魔化さないと無理、という状況もあると思います。1番合理的な判断が、自分のやりたいことを抑えるということだってある。でもその状況に俺がいたとしたら、フタをしないで、やりたいことをやるという生き方があると思うよ?と言う。勉強、恋愛、生活の仕方…きっと自分らしく生きて行く方法があるんじゃないのかなー?と提案したりする。」
--榎本さんにそう背中を押してもらったら、自分のやりたいことに対して偽らずに向き合える気がします。
榎本「この前、授業時間を10分位使って生徒が失恋話をみんなにシェアしたんですよ。1週間前にフラれてしまった男の子、すごい落ち込んでて。そのクラスは男女みんな仲が良くて、もっとこうした方が良かったんじゃない?これからこうすれば?とグループで解決策を話し始めて。そんなクラスって素晴らしいと思うし、そういうチームを作っていきたい。そんな仲間達だったら、誰かが困った時に必ず助け合えると思うんです。そういうワイワイガヤガヤしたチームこそが、結果的にはイノベーションを起こすんだと、私は強く信じています。」
--そんなチームの波及効果は?
榎本「誰かが塾を辞めようとしても、お前がいないとつまんないから辞めるなよ、と生徒同士が引き止めるんです。そういう場作りをする人がファシリテーターなんです。雑談をしていると、自分にはリスクがある。授業時間も押してしまうし。だけど、生徒も好きなことを話して盛り上がっているから、多少延長しても文句は言わないですよ。」
--ファシリテーターとは、本気でつき合える仲間を作る役割なのですね。
榎本「自分も面白いときは一緒になって手を叩いて笑う。大人が心から楽しんでいる、見たことも無いくらいにはしゃぐ、そういうのを子供が見ると打ち解けたり安心したりするんです。生徒から授業とは全然関係ない話をされたら、それは打ち解けた合図。それもやっぱり警察で学んだことで、いかに協力者を作るかに繋がっているんです。」
ファシリテーションとは人間関係を作ること、ただ単にグループワークが上手く行くことをフォローするのではなく、生徒がどんな気持ちでそこにいるのか?彼らがどうなったら幸せか?に焦点を当てることが大切だと分かりました。次回はファシリテーターとしての基礎を磨いた、警察での経験について伺います。
(執筆:CREM編集部 丸山亜由美さん)
クリエイター:榎本すみを(ファシリテーター)
愛媛県出身、早稲田大学人間科学部卒業、元・警視庁知能犯罪捜査官
ファシリテーションを地域に拡大し、コミュニティーデザインも手掛けるkibi 代表取締役
特技のダンスは元・ZOOと共演したほどの腕前、ダンサーとしての一面も
・株式会社kibi:https://www.kibiinc.co/
丸山さん
ありがとうございました。
実は、
インタビュー当時、
丸山さんも早稲田塾で教壇に立ち、
そのご縁で取材を受けたのでした。
第2回の記事は、
また別途kibi logで紹介します!
こちらは、
同じく早稲田塾で同僚だった
人気世界史講師、鈴木悠介先生のYouTubeインタビュー。
🌳kibi🦉 声なきに聞き、形なきに見る
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