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第二話「十百華はハンドルを握りながら、課長の話を思い出していた」

2019年に2030年の移民事件を予測した『刑事とミツバチ』​

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こんにちは!

榎本澄雄です。

10月17日、木曜日。

今日は満月、10月20日から秋の土用です。

第二話「十百華はハンドルを握りながら、課長の話を思い出していた」

2019年に2030年の移民事件を予測した『刑事とミツバチ』​

私が2019年11月末日

小説推理新人賞に応募した作品です。

https://fr.futabasha.co.jp/special/suiri_award/

あらすじはこちら。

👇

未公開作品『刑事とミツバチ』あらすじ

2019年の元刑事が2030年の治安悪化を予測した短編警察小説​

https://www.kibiinc.co/blog/2024-10-2

第一話はこちらから。

👇

第一話「警察庁が内務省となって、三年が経った」

『刑事とミツバチ』2019年小説推理新人賞応募作品

https://www.kibiinc.co/blog/2024-10-13-2

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十百華はハンドルを握りながら、課長の話を思い出していた。

「八坂係長。絶対、椿に運転させるなよ。特に午前中。酒気帯びで事故られたら敵わんからな」

 

トヨタ・アリオンのメーターは時速50キロをキープしている。

平日の首都高。青い空と高層ビル。合間に見える木々の緑が高揚感を誘った。

 

三千三郎は、後部座席で鼻歌を歌っている。十百華は専属運転手になった気分だった。

ルームミラーで三千三郎を覗く。三千三郎の手指は膝の上でダンスを踊っていた。

しらふの時は明るい良い人なのかもしれない。十百華は少しほっとした。

 

「それ、何の歌ですか?」

「ブルース」

「音楽、お好きなんですね。もしかして若い頃はバンドマンだったとか?カラオケでは何を歌うんですか?ギターとか楽器もやるんですか?」

「さすが、元〈ブン屋〉だな。質問が多い」

「新聞記者じゃないですよ。テレビ局でした」

 

「何で辞めたんだよ。もったいない」

三千三郎があくびしながら言った。

 

「いや、いろいろあって……」

十百華は口を噤んだ。

 

「ワーカホリックだったので体調を崩して。休職中に内務省からお話が」

「あちこち事件に首突っ込んで聞いて回るのが好きな訳か。ロクに仕事しねえ機捜みたいだな」

「そう言う椿さんは、何で一度、辞めたんですか」

 

三千三郎のあまりの言い草に、十百華はつい口調が荒くなった。三千三郎は答えず、上着のポケットからサングラスを取り出した。

 

「あ、何か厄介な事件に巻き込まれたとか?警察内部の不祥事とか?機動捜査隊と関係でも?」

「そろそろ、下道に降りるぞ。高速券、用意しとけ」

三千三郎が舌打ちした。

 

十百華は慌ててサンバイザーから青いチケットを取り出した。黒字で〈警視庁〉と書かれている。日付と経路は事前にボールペンで書いておいた。

しかし、この令和の時代に自動運転どころかETCも使えないとは。アナログにもほどがある。それとも、一周回って、これが理想の情報セキュリティーなのだろうか。

 

「カメラ、持ったか?」

今日は捜査対象の住居(ヤサ)を確認することになっている。ウエストポーチの中に小型カメラを入れておいた。

 

「どんな事件なんですか?」

「知らん」

十百華はルームミラー越しに三千三郎を見つめた。

 

「ほんとだ。知らされてない。課長も知らんそうだ」

「そんなことってあるんですか?」

「訳ありなんだろ?オレたちがやることは言われた場所に行って、写真を撮ってくる。対象の顔を覚えて、いたら行確(コウカク)する。それだけだ。簡単だろ?」

 

行確とは対象者の行動を確認して、行動パターン、立ち回り先、交友関係、財産関係の裏付け捜査をすることだ。

 

「尾行って簡単なんですか?」

「センス」

十百華は三千三郎の答えに小さくため息をついた。運動には自信がないのだ。

「お疲れさまです!気をつけて」

 

料金所で白髪のおじいさんが元気な声を掛けてくれた。十百華は高速券を手渡して、車を一般道へと走らせた。

不定期で全9章アップします。

どうぞお楽しみにお待ちください。

P.S.

10月14日、

大泉図書館の講演。

50名ほどご参加されて、とても盛況でした。

【お詫び…残席0】

人間を深く知る3つの秘話

練馬区立大泉図書館主催講演『元刑事が見た発達障害』

https://www.kibiinc.co/blog/2024-9-4

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当日の写真や

アンケート結果など

また後日、共有します。

新たな出会いがあって、

素晴らしい会となりました。

10月27日

阿佐ヶ谷講演まで

残り10日となりました。

10月9日の時点で

43名お申し込みです。

定員は90名ですので、

お早めにお申し込みください。

当事者と家族が巻き込まれる犯罪の手口と対策

NAHOの会(杉並区発達障害の子をもつ親の会)

主催講演『元刑事が見た発達障害』

https://www.kibiinc.co/blog/2024-9-15

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元刑事が見た発達障害

~当事者と家族が巻き込まれる犯罪の手口と対策~

 

元刑事で、発達障害者についての知見と実践経験を持つ、榎本澄雄氏をお迎えして、詐欺、ハラスメントなどの侵害に関する知識や、被害にあった時の相談の仕方など具体的な対応方法、犯罪から身を守るために重要な信頼関係の構築についてお話いただきます。発達障害者が社会で安全に暮らすための知識と実践方法を、ぜひご家族全員で学びましょう。

 

講師 榎本 澄雄氏

株式会社 kibi 代表取締役

元警視庁警部補。麻布署知能犯刑事として自閉スペクトラム症者を被疑者とする事件を担当。署長によるパワハラを内部通報、更迭請求し警視庁を辞職。特別支援教育等の福祉現場に身を置く。著書『元刑事が見た発達障害 真剣に共存を考える』他。薬物犯罪対策など危機管理の講演も行っている。

 

日時 10/27(日)

受付開始 : 13:00

13時30分~15時30分(質疑応答含む)

 

会場 阿佐谷地域区民センター 第1~3集会室

〒166-0001 杉並区阿佐谷北 1 丁目 1 番 1 号

TEL:03-5356-9501

 

参加費

会員:無料

非会員:500円(会場費)

 

定員 90名(先着順)

定員になり次第、締め切ります

 

申込み 右の QR コードからお申し込みください。

(申し込んだ後の返信メールはありません。)

※QR コードからお申込みできない方は、下記メールアドレスあてに、①人数、②参加者氏名(全員分)、③連絡先(TEL)を記載の上お申し込みください。

 

問い合わせメールアドレス :kouen2024@nakase-higashita.daa.jp

10月27日

阿佐ヶ谷講演は

10月9日の時点で

43名お申し込みです。

定員は90名ですので、

お早めにお申し込みください。

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https://docs.google.com/forms/d/1dMS_JT9l-4XII9Tz1_0NhpajdIf0AMkVedqjGf3L-P8/viewform?edit_requested=true

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