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横領するパワハラ犯人

企業犯罪VS知能犯刑事

麻布署6年の研究と発見 第2回

2024年12月23日

こんにちは!

榎本澄雄です。

12月24日、火曜日。

明日はクリスマスですね。

今日は、

2020年10月8日から

2021年11月2日まで

私がリスク対策.comに

連載していた記事を紹介します。

リスク対策.com

危機管理とBCPの専門メディア

https://www.risktaisaku.com

私はリスク対策.comから撤退し、

過去の記事を削除してもらったので、

現在は閲覧ができない状態となっています。

👇

2020年11月30日 リスク対策.com

『企業犯罪 VS 知能犯刑事 麻布署6年の研究と発見』

異常なフォロワーシップから愛着の満ち欠けが診断できる!

第2回 刑法第253条 業務上横領罪

https://www.risktaisaku.com/articles/-/42833

第1回の記事はこちらです。

👇

テレビでは解説されない刑事事件

企業犯罪VS知能犯刑事

麻布署6年の研究と発見 第1回

https://www.kibiinc.co/blog/2024-11-22

横領するパワハラ犯人

企業犯罪VS知能犯刑事

麻布署6年の研究と発見 第2回

こんにちは。

元知能犯刑事、榎本澄雄です。

 

今回は「異常なフォロワーシップから愛着の満ち欠けが診断できる!

 

第2回 刑法第253条 業務上横領罪」というテーマでお話しします。

 

キーワードは「企業犯罪が起こる組織」、「見逃してはいけない企業犯の特徴」、「企業のダークサイドと企業犯罪」、「お金と心、勘定と感情の関係」です。

1 異常なフォロワーシップ

 

異常なフォロワーと異常なリーダー

最初に「異常なフォロワーシップ」について説明します。

 

おそらく多くの方は、異常なフォロワーシップと言われても、何のことだか、ピンと来ないと思います。

 

しかし、今までの組織論では、巨大組織から、中小企業、学校、家庭に至るまで、本当に異常なまでのフォロワーシップで成り立っていた、というのが、私個人の持論です。

 

「異常なフォロワーシップ」を反転してみると、どうなるでしょうか?

 

そうです、「異常なリーダーシップ」になりますね。

 

なぜ、私がそのような考えに至ったのか?

 

知能犯刑事として、組織のダークサイド、権力犯罪を目の当たりにしてきたからです。

Toxic Leadership

皆さんは「Toxic Leadership」という言葉を聞いたことがありますか?

 

有毒なリーダーシップ、です。これまで、日本のあらゆる組織で、パワハラ、セクハラが看過されてきた風潮がありました。

 

パワハラ、セクハラと皆さんが聞いても、「でも、それは犯罪ではないし……」と思われるかもしれません。

 

しかし、パワハラやセクハラの概念はとても広く、その中には、

暴行、傷害、脅迫、名誉毀損、侮辱のみならず、強制わいせつ、強制性交等といった「犯罪」

が含まれていることを、あなたは「直視」できているでしょうか?

 

現代社会では、誤ったリーダーシップ教育が「産業」になってしまった結果、「不正なリーダー」が聖人君子になりすまして、権力犯罪が横行してしまいました。

「権力」を手にするための七つの資質

ジェフリー・フェファーというアメリカのスタンフォード大学ビジネススクール教授は、著書『「権力」を握る人の法則』(日本経済新聞出版社)で、「権力」を手にするための七つの資質を挙げています。

 

1 決意

2 エネルギー

3 集中

4 自己省察

5 自信

6 共感力

7 闘争心

この中の、「決意」、「エネルギー」、「集中」、「自信」、「闘争心」は、強力なリーダーシップ像を喚起すると同時に、部下や家族、弱者を恫喝して、顧客や売り上げを強奪するような「パワハラ上司(経営者、経営幹部)」をイメージさせないでしょうか?

 

また、知能犯事件を担当してきた私にとって、「自己省察」は「躁鬱傾向」を、「共感力」は「詐欺師のように擬態して、人を巧みに騙す能力」を想起させます。

 

実際に、このジェフリー・フェファー氏が、後に書かれた本をすべてご覧になると、経緯がよくわかると思いますので、参考文献として紹介します。

 

『「権力」を握る人の法則』

『悪いヤツほど出世する』

『ブラック職場があなたを殺す』

ジェフリー・フェファー=著(日本経済新聞出版社)

 

これまでの企業や組織は、異常なフォロワーシップと異常なリーダーシップで成り立ってきた。

 

では、それが「企業犯罪」とどのような関係があるのでしょうか?

2 業務上横領事件

 

見逃してはいけない企業犯の特徴

皆さんは、組織の中で企業犯罪に手を染める「企業犯の特徴」をプロファイリングできますか?

 

どのような人物が多いでしょうか?

 

新入社員ですか?

 

それとも、あまり仕事の能力が評価されていない中堅社員でしょうか?

 

お分かりかと思いますが…

そのような人物像では、全くありません。

 

企業犯罪に手を染めるのは…

経営者です。

 

経営幹部です。

仕事のできる人です。

売り上げ成績優秀なトップセールスマンです。

影響力のある著者、文化人、人気クリエイターです。

 

これは、私が麻布署刑事課で知能犯捜査を担当してきた「実体験」に基づいています。

 

なぜでしょうか?

 

影響力が強いからです。

権力を持っているからです。

組織の決裁権を持つからです。

彼らを容認しないと、組織が運営できない「仕組み」だからです。

企業犯罪、権力犯罪、組織犯罪

企業犯罪が発覚する、警察や検察に事件相談へ行く、新聞報道される、そのほとんどの場合、社員さんたちは、既に現場で「進行中の犯罪」を認知しています。

 

それにもかかわらず、異常なフォロワーシップで容認してしまったのですから、企業犯罪とは「権力犯罪」であり「組織犯罪」と言っても過言ではありません。

企業のダークサイドと企業犯罪

私も目の当たりにして、呆れました。

 

凡人が権力を手にすると、馬鹿になります。

 

愚かにも、役職(ロール)を自分の能力だと勘違いします。

 

接待され、酒食をもてなされ、時には魅力的な異性が近づき、堕落します。

使途先を突き止めろ!

詐欺事件や業務上横領事件の捜査では、必ず実施する捜査があるのですが、皆さんはご存知でしょうか?

 

それは、使途先の解明です。

 

入手可能な画像、PCやガジェット、車などの交通機関、スマホなどの携帯電話、金融機関の口座情報などを押収し、データを解析します。

 

捜査員が一件、一件、「1円」単位で現金の入出金を金融機関などから洗い出し、「いつ、どの店で、誰と、いくら使ったのか」捜査します。

 

多くの場合、捜査や取調べの過程で明らかになることは、使途先の多くが、不倫など不適切な関係における遊興費、性風俗、飲食、ギャンブル、過度な株式投資だったということです。

 

企業や組織の大切な「資金」、時には「公金」が、彼ら企業犯の遊興費、軍資金として消費されているのです。

フォロワーは、リーダーを「モニタリング」せよ

ですから、現場のフォロワーは、権力者であるリーダーが

 

・家庭は円満か?

・不倫など不適切な関係を犯していないか?

・ギャンブル、過度な投資や性風俗に嵌っていないか?

 

などの観点からプライベート、素行をよくモニタリングしておく必要があります。

 

また、私の捜査経験では

「企業犯罪の犯人が職場でパワハラ、セクハラを敢行している事実」

も多々ありましたので、パワハラ、セクハラをするリーダーは「潜在的企業犯」として、上位リストに挙がります。組織の中で「仕事ができる」人たちだから、ずっと看過されてきたのです。

 

念のため言いますが、

リーダーがフォロワーをモニタリングするのではありません。

 

それは、異常なフォロワーシップの強要であり、奴隷のような主従関係になってしまいます。

 

フォロワーがリーダーをモニタリングするのです。

 

ここで重要なことは、モニタリングを自身の「権力闘争」の材料に使わないことです。

 

つまり、モニタリングして得た「情報」を、決してあなたがリーダーにのし上がる目的で、使わないで欲しいということです。

 

ここで、企業犯罪の典型的な例として、「刑法第253条 業務上横領罪」をチェックしておきましょう。

刑法

第253条(業務上横領)

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

 

この罪の主体(犯人)は、業務上、他人の物を占有する者です。

 

業務とは、社会生活上の地位に基づいて反復または継続して行われる事務のことですが、業務上横領罪の業務とは、その性質上、他人の委任に基づいて他人の財物を占有、保管する事務です。

 

その行為である横領とは、不法領得の意思を持って、消費などすることです。

 

私が担当した事件では、巨大企業のトップセールスが数億円単位の物品を購入、転売した事件がありました。

警察内部の不祥事

大変、お恥ずかしいことではありますが、かつて私の上司であった麻布署刑事課長が捜査費(公金)の業務上横領事件で書類送検され、日経新聞などで報道もされました。

 

その課長は前任が警視庁本部の捜査二課でした。(捜査費担当だったと聞いています。)

 

捜査二課は、贈収賄や企業犯罪など知能犯罪を捜査します。

 

刑事課員だった私自身も参考人として取調べを受けました。

 

社会正義の模範となるべき警察でも、一般の皆さんがご存知ない未発覚の刑事事件、パワハラやセクハラなど不適切な事件が横行していた、巨悪が蔓延っていたと言わざるを得ません。

 

今回、恥を忍んで、お伝えいたしました。

 

記事の締めくくりとして、なぜ、異常なフォロワーや異常なリーダーが生まれてしまうのか、その背景について触れたいと思います。

3 企業犯罪と愛着障害

 

愛着障害と問題行動

愛着障害とは「胎児期や幼少期に自分が自分であることを祝福されなかったため、常に人間関係に満たされない感覚」だと私は考えています。

 

決して、過去に児童虐待を受けたなど特殊な事例ばかりではなく、戦中、戦後の不安定な世界では、よく起こり得たことです。

 

また、愛着障害を克服していない人たちが家庭を持つと、愛着障害の子どもが増える可能性は高まります。

 

私が事件捜査に従事した経験から、犯罪者や犯罪に関わる人には愛着障害を抱えた人たちが多い印象を受けました。

 

パワハラやセクハラなど「問題行動」を繰り返す「厄介な人」たちは、愛着障害を抱え、「強い葛藤」をバネに、組織でのし上がって来た人たちでした。

自己表現と自己治療

「自己表現」という言葉は皆さんも聞いたことがあると思います。一方、「自己治療」とという言葉は聞き慣れないかもしれません。

 

私の言う「自己表現」は、アートやクリエイティブな活動だけではなく、自分の意見を表明する、クレームを言う、自傷・他害・パニックやパワハラ、セクハラなどの問題行動、犯罪行為も含んでいます。

 

私は「全ての自己表現は、自己治療の表れである」と考えています。

 

自分自身でも忘れてしまった「過去の恨みや辛み」、「社会への不満」、「常に満たされない不全感」を一瞬でも良いから、「何とか楽にしたい」、「自分で自分を癒したい」と言う背景があり、それが犯罪や問題行動である場合は、社会的に大変、迷惑な行為となります。

お金と心、勘定と感情の関係

詐欺や業務上横領などの知能犯罪は、立件が難しく、担当刑事の技量、器、決意が問われます。犯罪者はそれを当然のように知っています。

 

暴力団や半グレ、不良外国人グループなど反社会的勢力は、すぐに捕まるような強行犯事件や盗犯事件を「シノギ」にしません。

 

捜査が後手に回りやすく、多額の現金が手に入る知能犯事件、経済事件を選択します。

 

企業犯罪も同じ構図です。

 

何とか自分自身の満たされない「愛着の欠け」を埋めようとして、詐欺や業務上横領などの企業犯罪に触手を伸ばし、手に入れたお金で遊興費に耽ります。

 

「お金は、感情のエネルギー」だからです。

 

しかし、それで感情が満たされた気になるのは、当然ほんの一瞬です。

 

ますますダークサイドの深みへ嵌っていきます。

鬼手と仏心

医療や捜査では、「鬼手仏心」と言う言葉を使います。

 

愛(仏心)を持って、問題行動(病気など)を止めること(鬼手)です。

 

犯罪者には「愛着障害を克服するために、どん底を味わって、自己破壊の末に、新たな自分へ変容したい」とダークサイドへ堕ちる願望が潜在的にあります。

 

映画「スター・ウォーズ」に登場する悪役ダース・ベイダーのように、誰かがストップをかけないと、とことん極端な道へ走ってしまいます。

 

しかし本当は、問題行動を止めてくれる人、自分の「破壊と再生」を促してくれる父母のような存在を求めているのです。

あなたの組織と愛着の満ち欠け

企業犯罪やパワハラ、セクハラを看過する組織は、親子関係、家族関係など深い愛着障害を抱えた人たちで構成されていると言って良いでしょう。

 

異常なフォロワーと異常なリーダーで成り立つ組織には、愛着が欠けています。

 

企業のダークサイドから目を逸らさず、今すぐ手を打ちましょう。

それが新たな被害者を生み出さないための「情け」です。

 

危機管理・BCPの担当者さまから、ご質問、ご相談やご意見などお待ちしております。

参考文献

 

『「権力」を握る人の法則』『悪いヤツほど出世する』『ブラック職場があなたを殺す』

ジェフリー・フェファー=著(日本経済新聞出版社)

『上司が萎縮しないパワハラ対策』加藤貴之=著(日本法令)

『GIVE & TAKE』アダム・グラント=著(三笠書房)

『サイコパス』中野信子=著(文藝春秋)

『やっかいな人のマネジメント』ハーバード・ビジネス・レビュー編集部=編(ダイヤモンド社)

『FBIプロファイラーが教える「危ない人」の見分け方』ジョー・ナヴァロ+トニ・シアラ・ポインター=著(河出書房新社)

『英雄の旅』キャロル・S・ピアソン=著(実務教育出版)

『一緒にいてもひとり』カトリン・ベントリー=著(東京書籍)

『愛着障害』岡田尊司=著(光文社)

『回避性愛着障害』岡田尊司=著(光文社)

『愛着障害の克服』岡田尊司=著(光文社)

『死に至る病』岡田尊司=著(光文社)

『治療のための精神分析ノート』神田橋條治=著(創元社)

『愛着障害は治りますか?』愛甲修子=著(花風社)

『自傷・他害・パニックは防げますか?』廣木道心+栗本啓司+榎本澄雄=著(花風社)

『元刑事が見た発達障害』榎本澄雄=著(花風社)

『警察手眼 日本警察再生への処方箋』久保博司=著(講談社)

『大コンメンタール刑法 第13巻〔246条~264条〕』大塚仁+河上和雄+佐藤文哉+古田佑紀=編(青林書院)

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