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親友の安全を守れますか?

元刑事が作った有事即応訓練 第3回 グラウンドルール​

2025年1月22日

こんにちは!

榎本澄雄です。

1月23日、木曜日。

大寒を過ぎ、2月3日は立春です。

2020年2月28日から

2020年7月27日まで

私がリスク対策.comに

連載していた記事を紹介します。

リスク対策.com

危機管理とBCPの専門メディア

https://www.risktaisaku.com

私はリスク対策.comから撤退し、

過去の記事を削除してもらったので、

現在は閲覧ができない状態となっています。

👇

2020年4月27日 リスク対策.com

『元刑事も夢中になる防災訓練のゲーミフィケーション』

信頼の土台、ありますか?

第3回 グラウンドルールを作りましょう!

https://www.risktaisaku.com/articles/-/30275

第1回の記事はこちらです。

👇

元刑事が作った有事即応訓練 第1回

防災訓練のアイスブレイクから始めましょう!

https://www.kibiinc.co/blog/2024-11-16

第2回の記事はこちらです。

👇

遊んで生きる

元刑事が作った有事即応訓練 第2回 ヒアリング

https://www.kibiinc.co/blog/2024-12-7

親友の安全を守れますか?

元刑事が作った有事即応訓練 第3回 グラウンドルール

リスク対策.comをご覧の皆さん、こんにちは!

 

元刑事の榎本澄雄です。

『元刑事も夢中になる防災訓練のゲーミフィケーション』へ、ようこそ。

 

この連載では「モチベーションが上がりづらく、成果が見えづらい」防災訓練を「夢中になって参加し、行動が変化する」防災訓練へゲーム化するプロセスを解説します。

 

前回は、訓練前のヒアリングについてお話ししました。

【前回の振り返り】

 

□ ヒアリングとは、相手の「困りごと」を聞き出して、感情を理解すること。

 

□ ヒアリングのメリットは、防災訓練や災害時の「協力者」を探し出せること。

 

□ 簡単なヒアリングは、3人くらいにどんな防災訓練が望ましいか「生の声」を聞き出すこと。

 

※詳しくは、「第2回 訓練前にヒアリングしましょう!」をご覧ください。

 

それでは、今回も皆さんに質問させてください。

【最初の問い】

信頼の土台、ありますか?

 

さて、ようやくあなたは実際に防災訓練を開始しました。

会場には参加者が続々と集まってきます。アイスブレイクもバッチリ。

訓練前には協力者たちにヒアリングをして、期待値も調整できているはず。でも、何か違和感を感じています……。

あれ?誰も話を聞いてない??

 

なんと言うか、一体感がないのです。

参加者の「心がここにない」状態とでも言えば良いでしょうか。

あなたの説明を聞いてるようで、誰も聞いてないような……。リアクションが薄かったり、質問もなかったり……。

戦うか、逃げるか

 

リアクションが薄いときは、相手が恐怖を感じている可能性があります。

あるいは、興味関心がないので、無視したいという場合もあるでしょう。

 

脊椎動物の脳には、脳幹と呼ばれる部位があります。

「爬虫類の脳」とも呼ばれ、「捕食」や「生殖活動」など最も原始的な本能を司っています。魚類、両生類、爬虫類では脳幹が脳の大部分を占めています。

 

私たち人間にも、脳の最も深い場所に脳幹があります。ほかの脊椎動物と同じように、「生と死」、「性と食」など本能に関わる行動をコントロールしています。

 

脳幹は生存に関わる危険を敏感に察知します。

恐怖を感じると、戦うか、逃げるか判断します。危険でない場合は、やり過ごす、無視するという選択肢もあります。

 

あなたが望まないセールスやクレームを受けた時は、「何か危険を感じるぞ?!戦うか、逃げるか、今すぐ判断するんだ!」とあなたの脳幹が指令を出します。

 

また上司やクライアントから面倒な指示を受けた時は、「生死に関わらない情報なので、とりあえずやり過ごそう」とあなたの脳幹が判断しているかもしれません。

参加者の生理的安全と心理的安全を確保する

 

この連載の目的のように、「モチベーションが上がりづらく、成果が見えづらい」防災訓練を「夢中になって参加し、行動が変化する」防災訓練へゲーム化するには、見過ごしてはならない非常に重要なポイントがあります。

それは、参加者の「本能に訴えかける」ことです。

 

今回の記事では、参加者の「本能に訴えかける」ために生理的安全と心理的安全を確保することを提案します。

訓練参加に当たって、「心理的に圧迫」されたり、「公然と批判」されるなど、心理的安全が確保されない状態だと、参加者はもちろん安心できないですよね?

 

また、実際の災害ではなく、あくまでも防災訓練です。「気温の寒暖」や「排泄(お手洗い)の時間と場所」、「怪我をする心配がない」ように環境を整えていることなど、生理的安全の確保が大切です。

 

生存に必要な環境を確保しないと、参加者の不安が募って、訓練に集中できません。あなたが事前に環境を整えているというメッセージをしっかりと参加者に伝えましょう。

リスクコミュニケーションの土台

 

生理的安全と心理的安全を確保することは、「信頼の土台」です。リスクコミュニケーションの土台と呼んでも良いでしょう。

 

災害とは、不測の事態、非常事態、有事です。一方、防災訓練は、有事に即応するために設定した「学びの場」であり、「実践の場」です。

 

参加者同士が協力し合って、心地よく学ぶためにはマナーやルールが必要……。

 

そのような「信頼の土台」となるルールのことを「グラウンドルール」と呼びます。

グラウンドルールのつくり方

 

グラウンドルールは、全員参加の場所をつくり出すのに有効です。

 

参加者に対する「規制」や「制限」というよりは、参加者の「安全」を確保して、エネルギーが湧いてくるようなルールの方が安心感を生んでくれます。

 

また、暗黙のルールではなく、わかりやすい形で全員に明示してあげることも大切です。

 

どんなグラウンドルールを設定するのか、事前にアイディアを募集しても良いかもしれませんが、訓練当日、全員がいる前で意見を出し合って決めると、「一体感」が得られやすいでしょう。

 

まず、参加者でいくつかグループを作ってもらい、3分くらい「どんなグラウンドルールがあれば、私たちが安心して訓練できるか?」話し合ってもらいます。

 

次に、訓練担当者のあなたは、各グループに「どんな意見が出ましたか?」とインタビューして回ります。まるでクイズ番組の司会者のように。

 

そして、良いアイディア、採用してほしいグラウンドルールがあった時には、参加者の皆さんに拍手をしてもらい、合意形成をします。

グラウンドルールの例

 

グループの中で、「何も意見が出ない!」、「何か具体例やヒントがほしい!」と言われたら、あなたが事前に考えておいたグラウンドルールを1つ披露してあげてください。

 

例えば、こんなグラウンドルールはいかがでしょうか?

 

・近くのメンバーとアイコンタクトを多めに取る

 

・リーダーやサブリーダーを決めて、人員確認を忘れない

 

・遅れたり、はぐれそうな仲間がいたら、すぐに先頭まで連絡を回す

 

・いつもより多めに感謝の気持ちを伝える

 

・訓練が終わったら、メンバー同士でハイタッチする

グラウンドルールは、アイスブレイクと何が違うのか?

 

読者の方から質問が出るかもしれませんので、第1回でお伝えしたアイスブレイクとグラウンドルールの違いを説明しておきますね。

 

アイスブレイクは、氷を砕くように緊張をほぐすアクティビティ。

 

グラウンドルールは、全員参加の場所を作るルールです。「壊すもの」、「創るもの」とイメージすると覚えやすいかもしれません。

グラウンドルールとは、「信頼関係の醸成」

 

前回までの記事で、人質立てこもり事件の説得交渉は、第一関門が「興奮の沈静化」、第二関門が「感情の理解」だとお話ししました。

 

第三関門は、「信頼関係の醸成」です。ここまで辿り着くには、非常に苦労を要しますが、信頼関係さえできれば、チャンスが見えてきます。

 

しかし、信頼関係ができる前に影響力を行使すると、交渉に失敗します。

 

たとえ成功したと思っても、相手が恨み・辛みを抱えて、後々、社会的な報復行動(自傷・他害・パニック)へと繋がるおそれがあります。たった一言で、関係性が崩れてしまうほど繊細な状態なのです。

見えない不安と戦っていませんか?

 

新型コロナウイルス感染症の影響下にある昨今、リモートワークでお疲れの方もいらっしゃることでしょう。

 

あまり工夫のないテレワーク、リモートワークでは、今まで築いてきた社内の信頼関係がどんどん疲弊していきます。

 

自宅勤務では、お互いの顔が見えず、働きぶりが見えません。ついつい数字や時間、画面の遷移だけで仕事を判断しがちになります。

 

疑心が暗鬼を生んで、「私はあなたのことを信じていませんよ」という無言のメッセージを送り続けてはいませんか?

 

あるいは、「管理され、監視され、制限され、締め付けられる」ような気持ちになっていませんか?

 

特殊な状況下ですから、めまい、耳鳴り、発熱、頭痛など、心理的なプレッシャーから不調が現れやすい時期だと思います。

 

仕事と関係のない冗談、雑談、お喋りは、心のケアに本当に、本当に大切です。ほっとする、笑いが出る、楽しくなる、エネルギーを分かち合うようなコミュニケーションを意図的に増やしてください。

 

非常事態宣言が出るような状況です。

 

防災訓練とは関係ないように思われるかもしれませんが、日本国民全員が、新型コロナウイルス感染症という未知の災害に備えて待機状態にあると言って良いでしょう。

 

こういう時こそ、ぜひアイスブレイク(緊張をほぐす)、ヒアリング(困りごとを聞く)、グラウンドルール(信頼の土台をつくる)を活用してください。

 

今まさに、未曾有のRisk(災害)を体験している私たちですから、Training(訓練)を積んで、さらにGrowing Up(成長)しましょう!

【最後の問い】

 

□ あなたのチームが戦っている「見えない不安」とは何ですか?

 

□ グラウンドルールがあれば、どんなチームができると思いますか?

 

□ 防災訓練にあったら安心できるグラウンドルールは、どんなものですか?

【簡単なグラウンドルールのつくり方】

 

□ 参加者でいくつかグループを作ってもらい、「どんなグラウンドルールがあれば、私たちが安心して訓練できるか?」3分くらい話し合う。

 

□ 訓練担当者のあなたは、クイズ番組の司会者になったつもりで、各グループに「どんな意見が出ましたか?」とインタビューして回る。

 

□ 良いアイディア、採用してほしいグラウンドルールがあった時は、拍手してもらい、合意形成。

【今回のまとめ】

 

防災訓練のグラウンドルールは、参加者の生理的安全と心理的安全を確保する「信頼の土台」です。

 

全員参加の場所をつくり出すのにとても有効ですから、今すぐ、紙とペンを用意して、あなたのアイディアを書き出してみましょう。

親友の安全を守れますか?

元刑事が作った有事即応訓練 第3回 グラウンドルール

第2回の記事はこちらです。

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元刑事が作った有事即応訓練 第2回 ヒアリング

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